表彰の豆知識

「盾」と「楯」の違いとは?表彰用品に「楯」を使う理由

「表彰盾」と「表彰楯」はどちらの表記が正しい?

 こんにちは。表彰用品専門店・123トロフィーの中原です。

 当店でも取り扱っている「表彰楯」ですが、「楯」と「盾」どちらの漢字を使うべきか、迷われる方は少なくないと思います。では、どちらの漢字を使うべきなのか? 結論から言えば、どちらの漢字を使用してもかまいません。ですが、表彰用品業界では「楯」という表記を使うのがメジャーです。

 では、なぜ表彰用品業界では「楯」という漢字が多く使われているのか。表彰用品を取り扱っている当店の視点から探っていきましょう。

常用漢字の「盾」と表外漢字の「楯」

 先ほども述べたように、「盾」と「楯」を日常生活や会社の資料として使用する際は、どちらの漢字を使っても問題ありません。両者の違いは、一般的に使用される常用漢字であるか、常用漢字に含まれていない表外漢字であるか、ということです。

  “一般の社会生活において現代の国語を書き表すための漢字使用の目安”として文化庁が告示している常用漢字表には、「盾」という漢字が記載されています。そのため、日常生活や会社の資料などでは、「盾」という漢字を使用するのが一般的だといえます。

 しかし、文化庁は常用漢字とあわせて、“常用漢字表で想定しているような表外漢字について字体の標準を示されたもの”として「表外漢字字体表」示しています。これは、常用漢字とともに使用していく場合の字体選択のよりどころとなるものと位置付けられていますが、その中に「楯」という漢字が表記されているのです。

 つまり、常用漢字の「盾」と表外漢字の「楯」は、文字生活においてどちらも高い頻度で使用されることを想定されているため、どちらを使用しても間違いではないということになります。

表彰用品業界では「楯」と表記する会社が多い

 とはいえ、当店では、「楯」と表記することで「木製の楯、表彰用品の楯」をイメージしていただきたいという思いから「表彰楯」という表記を採用しております。というのも、記念品としての楯は当初、ほとんどが木製だったのです。当店が52年前に表彰用品の取り扱いを始めるきっかけとなったのも、木製の表彰楯でした。

 ですので、これはあくまでも当店の解釈ですが、常用漢字の使用を重視するなら「盾」、表彰用品業界で多く使われている「表彰楯」としての表記を重視するなら「楯」を使用されてはいかがでしょうか。

 参照:常用漢字表、表外漢字字体表(文化庁ホームページ)

 ■https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/kanji/

 ■https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/22/tosin03/index.html

「盾」のイメージが防具から記念品へ

 表彰楯の起源は「盾」にあるといわれており、歴史の中で「盾」は戦場において勇気や勝利の象徴とされていました。しかし、時代の流れとともに戦い方や環境が変化し、剣を使用する機会が少なくなっていきました。

 参照:トロフィーの歴史・記念楯・メダルなど表彰用品の歴史

 そして現代では、「たて」といえば、机の上に飾ってある記念品としての「楯」をイメージする方がほとんどかと思います。盾は、防具から友好の証へ、そして功績や友情を表す記念品へと、時代の変化とともに存在意義やイメージも変化してきたのです。

 時代とともに変化していくといえば、言葉も同じです。その中で、現在では防具を連想させる「盾」よりも、飾り板としての「楯」のほうが記念品としてのイメージが湧きやすい漢字である、といえるのではないでしょうか。

「盾」と「楯」の違いを英単語から読み解く

 次は、「盾」と「楯」について英単語の意味の違いから見ていきたいと思います。

「盾」と「楯」はどちらの漢字も古くから利用されており、広辞苑で「盾」を調べてみると「戦陣で、手に持ち、または前方に立て、敵の矢・銃丸・槍・剣などを防ぐための武器」と記載があります。また、「楯」も同様の意味を持つとされています。日本語の意味的には、どちらも変わりないようですね。

「shield」と「plaque」

 では、英単語の意味から「盾」と「楯」について考えていきましょう。表彰用品業界では、「楯」に対して「shield(シールド)」と「plaque(プラーク)」のふたつの英単語が使用されます。

 盾(楯)は、ゲームなどでも○○シールドといった名前で登場するように、本来武器として使用されていました。この通り、盾を意味する「shield」には保護物や防御物などの意味合いがあります。そして「plaque」には飾り板という意味合いがあります。

 つまり、現在一般的に普及している文章やロゴを彫刻した長方形の表彰楯を表す場合は、飾り板という意味合いを持つ「plaque」という単語のほうが適しているように感じます。※「shield」にも優勝盾としての「盾」という意味はありますが、表彰者の功績やイラスト・会社のロゴの彫刻等を施した「飾り板」という意味を持つのは「plaque」

 

 ■「shield」:シールド。 (盾形の)警官のバッジ、盾形、保護物、防御物、(機械などの)外装、優勝盾

 ■「plaque」:プラーク。飾り板、(事件・人物などを記念するための金属または石製などの)銘板

 

  「盾」と「楯」の違いを英単語から解釈すると、身を守るための「shield」であるか、飾り板としての「plaque」であるか、という違いがあるといえるでしょう。  

 実際に表彰用品業界で発行されている商品パンフレットでは、ほとんどの会社が「plaque」という表記を利用しています。表彰用品の最大市場であるアメリカでも「plaque」という表記が使われていることを考慮すると、やはり表彰用品としての「たて」については「表彰楯」という表記のほうがしっくりくるように感じます。

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