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社内表彰について

企業と従業員の架け橋となる「社内表彰制度」
業績アップのカギは承認欲求へのアプローチ

社内表彰制度とは、従業員(社員)の日々の頑張りや功績を評価したり、永年勤続に対してその努力や貢献を讃えて表彰する制度です。
努力している従業員へ企業から感謝の気持ちを伝えることや従業員のモチベーションを高めることなどを目的に、多くの企業が社内表彰制度を導入しています。また、企業によってさまざまな種類の表彰内容が設けられており、「功績をあげる」以外の面で従業員の心意気を讃えることができることもこの制度の魅力です。

表彰の歴史

スポーツ大会や各種イベントをはじめ、現在では一般企業にも取り入れられている表彰制度ですが、その起源は古代ギリシャ時代にまでさかのぼるといわれています。
また、日本では明治時代に栄典制度(国や公共のために功労のあった人物を国が表彰する制度)が導入され、「勲章(くんしょう)制度」が明治8年(1875年)、「褒章(ほうしょう)制度」が明治14年(1881年)に創設されるなど、国内でも表彰文化が普及していきました。こうして、表彰制度や表彰用品は、時代の流れとともにその種類や形状を変化させながら現代まで歴史を紡いできました。しかしながら、根底にある「想いや功績をカタチにして伝える・記録する」という本質は変わらず、今に受け継がれています。

  • トロフィーの起源は勝利の記念碑「トロパイオン」

    トロフィーの起源をたどると、その歴史は紀元前7世紀~3世紀頃の古代ギリシャ時代までさかのぼります。戦いに勝利した古代ギリシャ人たちは、敵の武器や兜・盾などの防具を奪い戦利品として樫の木の幹に飾り、記念碑として掲げていたそうです。古代ギリシャ人はその戦利品が飾られた記念碑のことを「トロパイオン(tropaion)」と呼んでいました。この呼び名が、現在の「トロフィー」の語源であるといわれています。その後、ギリシャ人からローマ人へその習慣が伝わる中で、金属製や大理石製のトロフィーが作られるようになり、手に持つことができるサイズへと変化していったようです。

  • 優勝カップの起源は「敵の頭蓋骨」

    優勝カップもトロフィーと同じく古代ギリシャ時代に起源があるといわれています。古代ギリシャでは、戦いに勝利した後、敵の頭蓋骨をカップにしてお酒を酌み交わす風習があったそうです。このお祝いの場で使用していたカップ(敵の頭蓋骨)が優勝カップの起源であるといわれています。

  • 表彰楯の始まりは防具の「盾」

    表彰楯の起源は、戦場で敵の攻撃から身を守る防具の「盾」にあるといわれています。盾は戦場において勇気や勝利の象徴(騎士道の象徴)とされていました。しかし、戦い方が変化する中で剣や楯を使用する機会は減っていき、12世紀頃のヨーロッパでは楯をモチーフにした家紋が見られるようになりました。この家紋は、戦場で騎士を判別できるよう盾の形状を規定したり、盾にマーク(紋章)を描いたりしていたことが始まりだといわれています。盾から家紋へ、そしてヨーロッパでは次第に「友好の証」として盾が贈呈されるようになり、そこには「自領の防御力の高さ」をアピールする意味も込められていたようです。こうして“盾”は「防具」から「装飾品・記念品」としての“楯”へと変化していったのです。

企業にとってのメリット

  • 従業員のモチベーションアップとチームワーク向上

    人間には承認欲求があると言われていますが、その認められたい気持ちを「表彰」という形で認めて称賛することで、従業員は自信や誇りを感じることができます。その結果、日々の業務に対するやる気やモチベーションが高まり、業務意欲向上につながるのです。また、受賞対象を個人だけでなくチームや店舗、営業所、部・課など集団や組織にすることで、協力して賞を取りに行く体制ができて職場の士気が高まります。チームワークもよくなり、従業員同士の会話増加やお互いの理解が進むきっかけとなるでしょう。

  • 従業員への企業理念や運営方針の浸透

    表彰を行う際には、企業の理念や運営方針に沿って正当・公平な評価をするために基準を設定する必要があります。その基準を設定することは、企業の存在意義や従業員に求める思いが明確化されることでもあり、社内における企業理念の浸透につながります。その結果、従業員に対して会社の風土や行動規範を伝達しやすくし、組織内の意識統一にもつながるでしょう。

  • 個人能力向上(人材育成)による職場風土の活性化

    企業として従業員に「こうすれば評価される」と努力する方向性を分かりやすく伝えることができ、個人の技術力・チャレンジ精神の向上を促すことができます。表彰を通して個人のスキルアップを促すことで、受け身で消極的だった職場をチャレンジできる積極的な職場風土に変化させていくことにつながるでしょう。

  • 部署を越えて互いを理解できる機会になる

    社内の業務は部署ごとに異なるため、部署を越えてどのような仕事をしているのか細かく知る機会はなかなかないでしょう。しかし、表彰制度を設けた場合「この部署ではこんな業務が表彰されているのか」、「〇〇の取り組みで表彰を受けていた人に業務の相談をしてみよう」など、部署を越えて社員同士の理解を深めることができます。また、定期的な表彰式やセレモニーを開くことで、従業員同士や上司とのコミュニケーションの場を設けることもできます。

  • 帰属意識(愛社精神)の向上と離職率の低下

    多くの企業で人材の確保が大きな問題となっています。入社後の早期離職者も多く、業務内容の不満や人間関係の悩みからストレスが溜まったりしてしまうことが多いようです。しかし、表彰制度を導入することで上記のように個人の意欲向上や組織力向上につながれば、「この会社で頑張りたい」、「みんなでこの目標を達成したい」と、従業員の帰属意識を高めることができます。このように、業務の中で従業員前向きな気持ちになれる瞬間が積み重なっていくことで、会社を辞めたくなるきっかけを減らしていくことができます。

社内表彰の種類

社内表彰の種類としては主に「永年勤続表彰」や「業績に対する表彰」などが挙げられますが、売上や業績に応じて与えられる賞ばかりでは、バックオフィス業務の従事者が対象外となり公正性が保たれません。表彰制度を設置するにあたっては従業員が不満を抱かないように、そしてより多くの人に表彰の機会が訪れるように、アイデアを出しながら独自の制度を考案することが望ましいでしょう。以下では、社内表彰制度の一例をご紹介します。なお、表彰の種類や程度に関する事項は就業規則に記載する必要がありますが、支給基準等は独自に設定することができます。

授賞式までの流れ

社内で表彰式(授賞式)を実施するためには、受賞者を讃えるための準備が必要です。実際にどのような準備が必要なのか、式の直前や当日に慌てないためにもしっかり把握しておきましょう。

  • 表彰式の大まかな構想を決める

    いつ、どこで、どんな規模で表彰式を実施するのかを大まかな構想を決めます。目安となる予算も計算しておきましょう。準備する用品次第では時間がかかる場合があるので、余裕を持った準備期間の設定が大切です。

  • 表彰対象者の選考

    まずは表彰対象者の選考が必要です。重要な作業ですので、設けた基準に該当する授業員や事業所をピックアップして一覧を作成するなど、ミスのないよう進めましょう。

  • 表彰式の日程や会場・贈呈品・予算の計画

    次に、式の日程や会場を確定する必要があります。会場の予約なども忘れないようにしましょう。その規模によっては出席者に表彰式の案内を送付する必要がありますので、招待状(メールまたは郵送)の準備が必要です。また、式当日に贈呈する記念品や予算計画を立てましょう。特に、贈呈品は準備していても、胸に付けるリボン徽章(リボンバラ)などの小物を発注し忘れることが多いので注意しましょう。

    表彰用品は2ヶ月前には制作依頼をしておくと安心です!
  • 式当日の台本(シナリオの準備)、参加者の出席確認と贈呈者の決定

    表彰式のスケジュールと台本を作成しましょう。式の規模にかかわらず、スムーズな進行には当日の流れの把握が必須です。特に大きな表彰式の場合には、主催側はもちろん来賓側にも式次第を知らせておくのがマナーです。だれがどのタイミングであいさつをしてどの位置で記念品を受け取るかなど、段取りを考えておきましょう。また、出席者の確認と整理(必要な場合には席札なども準備)、記念品の贈呈者(社長や代表者)への依頼も忘れずに行いましょう。

  • 会場準備と立ち位置などの最終確認

    最後に、実際の会場で司会・表彰対象者・贈呈者と介添の立ち位置などを確認しましょう。表彰対象者が来賓からどう見えているか、下手と上手を意識できているかなど最終チェックをして当日を迎えましょう。※客席から向かって左側を「下手」、右側を「上手」と呼びます。受賞者を引き立たせるための司会の立ち位置は客席から見て「左側」が基本です。また、ステージ上ではプレゼンターが下手、受賞者が上手となるのが一般的です。

  • 表彰式当日は晴れやかな笑顔で

    いよいよ迎える表彰式当日。準備してきた段取りを実行しながら「また表彰式に参加したい」と思ってもらえるような活気ある式にしましょう。そのためには、適切なタイミングで拍手を促すアナウンスをしたりすることも大切です。どうやったら従業員に喜んでもらえるか、準備段階から笑顔あふれる瞬間を想像して取り組むとよいでしょう。

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